MT操作で最も難しいのは「高回転で1速から2速のシフトアップ」
2020/01/20MT操作で最も難しいのはどの操作だろうか?
・シフトダウン?
・坂道発進?
・ヒール&トゥ?
などが挙げられると思うが、「高回転で1速から2速のシフトアップ」が最も難しい。 今回はその理由と解決策を解説する。
【動画】MT操作で最も難しいのは「高回転で1速から2速のシフトアップ」[後編]|パーシャルアクセルを中心に「3つのコツ」を解説
【動画】MT操作で最も難しいのは「高回転で1速から2速のシフトアップ」[前編]
★高回転シフトアップ「あるある」
本題の解説の前に「あるある」を3つ紹介。
・信号待ちからの発進で1速を高回転まで回すとうまく2速にシフトアップできない
・「シフトチェンジするにはアクセル抜け」といわれるが1速高回転でそれをやると大きなショックが出る
・アクセルをやや抜いてからクラッチ切って2速にすぐにつなごうとしてもショックがでる
これらは、どんなにシフトダウンやH&Tが上手い人でも当てはまる「あるある」。
その理由としては、シフトダウン(H&T含む)は下記のような特性があり、
・アクセルを完全に抜いてからの操作のため「ゆっくり」操作できる
・「自分のタイミング」でアクセルをあおり、回転数の上昇の状況も分かりやすい。
・減速状態での操作であるため多少のクラッチ操作のショックはかき消される
逆にシフトアップ(特に1速から2速)は、
・アクセルを強く踏んでレブリミットを気にしながらの加速、そしてアクセルを緩めてクラッチ操作までが非常に忙しい。
・1速と2速のギヤ比は離れていることが多く、1速を回せば回すほどに回転が落ちるのを待つ必要がある。
・加速も減速もしない「パーシャル状態」でのクラッチ操作のため些細なショックでも体感できてしまう
上記のように、高回転をつなぐシフトアップは非常に難しい操作。
その克服には大きく3つポイントがある。
1、ギヤ比の理解
2、アクセルの緩め方(パーシャル)
3、リズム
★ギア比の理解
「ギア比」と「最終減速比(ファイル)」については次回解説するとして、今回おさえておくべきコトは下記の3つ。
・「ギア比」も「最終減速比(ファイルナル)」も出力側(タイヤ)が1回転するのに何回転するかの比率
・エンジンの回転数とタイヤの回転数の関係は、「ギア比」×「ファイナル」。
・例えばM240iで1速で走ると「4.110」×「3.077」で約12.7。エンジンが12.7回転するとタイヤが1回転。6速だとエンジンが2.6回転でタイヤが1回転となる。
●BMW M240iクーペ(MT)
1速 4.110 ※2速比:1.77倍
2速 2.315 ※3速比:1.50倍
3速 1.542
4速 1.179
5速 1.000
6速 0.846、後退 3.727、最終減速比 3.077
例えばM240iだと1速よりも2速のほうが1.77倍大きいため、1速で回した回転数を1.77で割った回転数で2速につなげばスムースにつながる。2速から3速の場合は1.50で割る。
具体的には、
1速:5500回転、2速:3100回転
2速:5200回転、3速:3500回転
・・という感じ。
よって、もし1速7000回転まで回すと2速には4000回転まで落とす必要があるため、やみくもに素早くクラッチミートしようとすると逆に回転が合わなくなる。
運転するクルマのギア比を調べて計算して信号待ちで1速で回す回転数と2速でつなぐ回転数を把握したうえで練習するとGood。
★アクセルの緩め方(パーシャル)
「あるある」でも述べたがシフトチェンジする際はアクセルを抜く必要がある。それは加速中はギアが強く噛み合ってしまうからであり、アクセルを緩めればギア同士にわずかな隙間ができてギアを抜くことができる。しかし、1速全開でいきなりアクセルを抜くと急激な減速Gが発生し「非常に不快な運転」となる。
そこで「加速のためのアクセル」から「パーシャルのアクセル」にうまく変化させれば、スムースにかつ同乗者にも優しい運転が可能になる。パーシャルとは加速も減速もしない状態のことをいうため、アクセルを抜き過ぎてエンジンブレーキがかかる状態にしてはいけないし、唐突なのももちろんNG。非常に繊細なコントロールが求められる。
どのくらいシビアな操作かというと、
・足裏を数ミリ動かそうとすると抜き過ぎになる
・足裏ではなく「足の甲」だけ力を抜いて「パーシャル状態」を作り一瞬タメる
・そこから「動かす」ではなく「戻していく」のだが、イメージは「低反発まくら」を踏んで、その弾力に合わせて戻していく。
オススメ練習方法は、高速道路で4速固定で80キロから90-100キロまで加速してからパーシャル状態をつくりまた80キロまで落とす。これの繰り返し。暇な高速道路もこれで解決だ。
★リズム
最後にリズムであるが、高回転でのシフトアップはMT操作の中で最も「忙しい」操作の1つでもあるため、「考えながら操作」していては遅い。リズムで体に覚えさせるしかない。ポイントは
1、「ジワッ」と足の甲だけ力抜いて「パーシャル」
2、「シュッ」とシフト&クラッチの用意
3、「フワァ〜ッ」とアクセル抜いてシフトアップ
となり、「1、」から「3、」までは1秒前後。繊細だからとゆっくりやりすぎてはダメ。繊細かつリズミカルに「フォン」「フォン」と繰り出そう。
【動画】MT操作で最も難しいのは「高回転で1速から2速のシフトアップ」
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