NDロードスターで学ぶ「LSD」と「スタビライザー」
2018/09/01NDロードスターは「S」「Sスペシャル」「RS/NR-A」の3つに大別されるが、そのグレード間に上下関係はなく、「走る速度域」に合わせてラインナップされているのをご存知だろうか。まず「RS/NR-A」はLSD、前後スタビライザー、大径ブレーキディスク、ビルシュタイン製ダンパーを備えるなどで主にサーキット用。次に「Sスペシャル(※MT)」はLSD、前後スタビライザーを備え、高速道路のコーナリングでもビシッと安定感がある。そして「S」は一般道での走行を狙い撃ちしたグレードとなっており「意図的」に「LSD」と「リアスタビライザー」などが外されている。今回はその「LSD」と「スタビライザー」についてポイントを絞って解説し、「S」と「Sスペシャル」を実際に乗り比べたレビューを送る。
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★スタビライザー
スタビライザーの解説の前に、主なメーカー内の車種間でその装備の有無をみてみると
●MAZDA
・デミオ/アクセラ、フロントのみ全グレード装備
・アテンザ/CX-5は全グレードでフロント/リアに装備
●TOYOTA
・アクア、フロントのみ全グレード装備
・プリウス、ほぼ全グレードでフロント/リアに装備
・86、マークX、カムリは全グレードでフロント/リアに装備
●VW
・ポロ、フロントのみ全グレード装備
・ゴルフ、コンフォートラインはフロントのみでハイラインはフロント/リアに装備
という感じで、フロントのスタビライザーは一部の軽自動車を除いてほぼ全車種に装備されており、リアのスタイビライザーはB/Cセグメントまでは装着されないコトが多いがDセグメント以上となると駆動方式に関わらず多くのクルマで装着されていることがわかった。
スタビライザーのポイント
そのスタビライザーのポイントを箇条書きで解説すると
・コーナーリング中にアウト側のサスペンションが沈みイン側が伸びてクルマが傾くことを「ロール」という
・ロール量が多いとS字コーナーなどの左右のコーナーが連続する場合に、例えばクルマが左に傾いてる状態から右に傾けるまで時間がかかり結果コーナリングが遅くなる。
・ロール量を減らすにはスプリングを硬くすれば良いが乗り心地が悪くなる
・逆にスプリングを柔らかくすれば路面の凸凹のショックを吸収できる
・荷重移動はロールしなくても発生するためスポーツ走行においてはロールするメリットはない
・スプリングが硬すぎると接地感が薄れてトラクションがかかりにくくなる
・スタビライザーはイン/アウトのロール量の差を少なくするもので縮み側だけでなく伸び側にも作用する
・接地感やある程度の乗り心地を確保しつつロール量を抑えたい場合にスタビライザーは有効
★LSD
主なメーカーでLSDが標準で装着されている2018年5月時点で発売中の車両(トラックや大型SUVなどは除く)は
●BMW
・M2/ M3/ M4/M5/M6 ※M240や320iMスポーツには装着されていない
●MAZDA
・NDロードスター ※SグレードやATは除く
●TOYOTA
・86
・ヴィッツのスポーツグレード
●SUBARU
・ WRX※S4には装着されていない
・BRZ
●NISSAN
・ GT-R
・ フェアレディZ
・スライラインクーペ タイプS/SP
●HONDA
・シビックタイプR
●LEXUS
・IS 300h
・LC Sパッケージ
・RCF
●VW
・装着車両なし
と驚くほどに少なく、サーキット走行をターゲットにした車両にしか装着されていないことがわかる。
LSDのポイント
そのLSDのポイントを箇条書きで解説すると
・クルマはコーナリングするとアウト側のタイヤの方が走る距離が長くなる
・デファレンシャルギア(デフ)はイン/アウトで抵抗差が発生した時に作動する
・コーナーではイン側に抵抗が発生しデフが作動してアウト側をより多く回してスムースにコーナリングする
・デフのデメリットとしてはコーナリング中にイン側が浮いて(インリフト)タイヤが空回りした際に、デフが作動してしまいアウト側を回さなくする、結果トラクションがかからず前に進まなくなる。
・雪や泥のぬかるみでも同様の現象が起きるがこれを「スタック」という
・LSDはリミテッド・スリップ・デフの略でイン/アウトでのトルク差が大きくなると作動してイン/アウトともに駆動させて前述したデフのデメリット問題を解決する
・LSDには「回転感応式」と「摩擦式」があり、NDロードスターのLSDは摩擦式のトルセンLSDで「トルクセンシング式スーパーLSD」という。
★オススメは「S」グレード
最後に NDロードスターの「S」と「Sスペシャル」を実際に乗り比べたレビューであるが、ロードスターならではの真髄を味わいたいのなら断然「S」をオススメする。リアスタビライザーが装着されてないため、フロント荷重からフロントアウト側に荷重が移る際の斜め前にクルマが傾く様がよくわかるし、なによりロードスターの開発者が「原点回帰」のグレードと定義しているクルマだからだ。MAZDAのクルマにはそれぞれ開発秘話があるため買ったあとにそれを知り、理解していくコトで満足度が上がっていけるため、そういう意味でも「S」をオススメしたい。
ただし、他のスポーツカーから乗り換えると「Sスペシャル」でも十分に人馬一体を味わえる。 BMW M240iを所有する筆者が先日NDロードスター Sスペシャルに乗って、国道のゆるーいコーナーでターンインから旋回体制にはいる際や、その辺の交差点からの脱出の加速で、リアが沈む感覚には思わず「オォ!!」と声をあげてしまったほど。
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