【試乗】ついにたどり着いた「ロータス・エリーゼ」

2019/05/20


ロータス・エリーゼに乗った人はまずいない。スポーツカー好きでもまずは国産、そして身近なドイツ車に興味を持つのがスタンダードな流れ。次点で日本車に似かよっていて、スポーティなクルマも多いフランス車や、買えるクルマは少ないが憧れ度は抜群のイタリア車、また映画の影響でアメリカ車にたどり着く人もいるだろう。

だがしかし、イギリス車のしかもロータスにたどり着く人は滅多にいない。

イギリス車の中でプラットフォームや操作系などをBMWと共有するMINIは除外させていただき、それ以外で馴染みのあるのはジャガーとランドローバーだが日本事情にマッチしたクルマはほぼ無い。
そんなイギリス車のロータスはピュアスポーツカーのみを販売するメーカーで、ほとんどが二人乗りのミッドシップ。中でもエリーゼは無駄を削ぎ落としたモデルで、エヴォーラやエキシージにATはあってもエリーゼは未だにMTのみ。加えて重ステだったりエアコンやオーディオが標準装備ではなかったりと超硬派なクルマ。よって普通の人はエリーゼの購入を検討する段階まで進むことはない。車の買い替えによりディーラーで試乗するにしても、趣味でスポーツカーをレンタルするにしても、エリーゼよりも現実的で速いクルマを選択してきたはずである。筆者もエリーゼには興味はもっていたが、イザとなると他のクルマを優先してしまってきた。

ここで筆者のスポーツカー遍歴を紹介すると、「自然吸気FFのMTセダン」から始まり、「水平対向4WDのMTセダン」、「自然吸気FRのMTクーペ」、「ディーゼルターボFFの多段ATセダン」、「ターボFRの多段ATセダン」、「ロータリーFRのMTクーペ」ときて現在は「直列6気筒FRのMTクーペ」&「ターボFFのDCTハッチバック」となっている。
要素別に整理するとエンジンは直6/直4/水平対向/ロータリー、駆動方式はFF/FR/4WD、トランスミッションはMT/DCT/多段AT、ボディ形状はクーペ/セダン/ハッチバックを網羅していることになる。

それなりにクルマについて学び経験してたどり着いたのが現在の愛車であるBMW M240iクーペ(MT)。そのホイールベースは2690mmなので2800mmを超えるセダンと比べると回頭性がよい。また駆動方式は前後バランスに優れハンドリングが素直なFR、そしてトランスミッションは良い意味で「扱いにくいMT」。最低限の実用性と高いドライビングプレジャーを両立しつつ、近隣住宅の方への迷惑も配慮した場合にベストなスポーツカーだと筆者は考えている。 ただし、2300mm級のショートホイールベースと1トンを切る軽量ボディのクルマにドライビングプレジャーでは敵わないというコトは充分に理解している。身近なところではNDロードスターがそれに該当するが、乗り心地もよくお手頃価格なため、かれこれ10回以上かつ3000キロほど乗っている。将来の愛車候補としても常に上位にくるクルマだからだ。ショートホイールベースと軽量のほかでM240iでは味わえないものとしてはミッドシップ(MR)が挙げられる。MRは最高峰のモータースポーツF1でも採用されており、それがベストな駆動方式ということは言うまでもない。

前置きがとんでもなく長くなってしまったが、「ロータス・エリーゼ」はNDロードスター並みのショートホイールベースと1トンを切る軽量ボディ、そして1000万円以下では希少なミッドシップというクルマ。
その価値を充分に理解したうえで、筆者念願のインプレッションを送りたい。


★エクステリア


【動画】ロータス・エリーゼ徹底レビュー!ミッドシップならではの・・



まずはフロントビュー。エンジンがフロントに存在しないミッドシップならではの低いフロントリッドと激しく盛り上がったフェンダー。


サイドビューはシボレーコルベット並みの戦闘機ルッキング


センター2本だしマフラー


まるでマクラーレン650Sのようなグラマラスな形状


丸目4灯テールランプ ※内側は光らない


全幅172cmでこのくびれ


エクステリアの中で特にこの


リアフェンダーダクトは圧巻


★乗降性、インテリア、実用性、重ステ



アルミバスタブフレームによる分厚いサイドシル


乗り込みは多少ドスンと落ちるのを覚悟する


内装はボディ同色のパネルが使われるなど意外に高級感がある


乗り込んですぐに飛び込んでくるフェンダーの盛り上がり


メーターはマイル表示なので気をつけましょう


トランクは期待してなかったが小旅行はできそう

乗り心地はまさにスパルタンで、キチガイと言われるほどのクルマ好きでも長距離は勘弁というレベル。
静粛性もアルミバスタブフレームにより小石や砂が当たる音がハッキリ聞こえるし、ロードノイズも盛大に入ってくるが、官能的なエンジン音がそれをかき消してくれる。

また、懸念していた「重ステ」は走り出してしまえば気にならない重さになる。特にフロント荷重が少なくなる上りではステアリングが軽いとされるNDロードスターよりも軽くなる。これはフロント荷重によってステアリングの重みがダイレクトに変化することを表しており、非常に面白かった。


★エンジン


【動画】ロータス・エリーゼ徹底レビュー(7000回転エンジン音編)


この個体のスペックは下記のとおり
型式:ABA-1119
全長×全幅×全高:3800×1720×1130mm
ホイールベース:2300mm
トレッド前/後:1455/1505mm
車両重量:890kg
エンジン:1ZZ、1800cc、直列4気筒DOHC
最高出力:136ps(100kW)/6200rpm
最大トルク:17.6kg・m(172N・m)/4200rpm


トヨタ製の


1.8LのIZZエンジンは充分な加速感と伸びもある。エンジン音も官能的で非常にGood。


★シフトフィール



この個体は10年落ち、走行距離5万キロであったが、それにしてもシフトは「ぐにゃぐにゃ」で笑ってしまうほど。エリーゼはミッドシップのためシフトとミッションがワイヤーを介してつながっており、その機構をシフトリンケージというが、そのブッシュ類が劣化するとこのようになる。そのためブッシュ交換は定番のようだ。また、FRのように回転が合うにつれ吸い込まれるようなダイレクト感はなく、カチカチとシフトチェンジする。


そんなシフトフィールだがシフトの位置や絶妙なパダルレイアウトのためか慣れてくると、何とも言えない一体感があり、「スパルタンなレーシングカーに乗ってるぞ」という高揚感のほうが勝ってくるのは不思議な体験であった。

【動画】ロータス・エリーゼ!重ステなのに軽い?ハンドリングと爽快シフトフィール!



最後に・・・


ガソリンスタンドとアンマッチなロータスエリーゼをどうぞ
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