トヨタクラウンで学ぶ車格(Dセグメント/Eセグメント/Fセグメント)とは

2017/11/11


あまりにも有名な「いつかはクラウン」というキャッチコピー。それほどにクラウンは長らく日本車における高級車の看板を背負ってきた。そのクラウンハイブリッド(アスリート、DAA-AWS210)を2016年に購入した同僚からの依頼でクラウンのポテンシャルをひきだしてみてBMWなどの他のセダンと比較することになった。今回は「車格」の解説とともにその比較結果をレビューしたい。


★車格とは


クルマ、特にセダンは「セグメント」という単位で「車格」を表すことがある。AからFまで6段階に区切られているが明確な定義があるわけではない。単純に「全長が○○mmを超えているから○セグメント」と決まるのではなく、各メーカーが取り決めている。
例えばトヨタだと

Dセグメント:マークX
Eセグメント:クラウン
Fセグメント:クラウンマジェスタ

となり日産だと

Dセグメント:スカイライン
Eセグメント:フーガ
Fセグメント:シーマ

というようにメーカーごとにみれば値段もサイズもセグメントが上がるにつれて大きくなっている。

また、各セグメントの「位置づけ」としては
▼Dセグメント:大人4人が乗れる
▼Eセグメント:Luxury
▼Fセグメント:executive
となっておりBMW 3シリーズアテンザレガシィB4など多くのセダンは「Dセグメント」に属し「Eセグメント」以上のセダンは一部の大規模メーカーにのみラインナップされていることが多い。
今回クラウンに乗ってみて最も強く感じたことは良い意味での「違和感」である。「アスリート」というスポーティグレードは車高も低くハンドルもクイックでFRらしい挙動もしっかり出せるクルマだ。いわゆる「スポーツセダン」の感覚でも充分に楽しめるのだが、他のスポーツセダンでは当たり前の荒れた路面での激しい突き上げが「全くない」のである。前輪が段差を通過した直後「来る!」と身構えても何事もなかったかのように「イナシ」てしまう。しかも車体の上下運動がほとんどなく、ミニバンなどのようにフワフワすることもない。筆者がEセグメント領域のクルマにうといのは置いておいて、日欧のDセグメントセダンにさんざん乗ってきただけに感動すら覚えるほどであった。しかし、よく考えてみればほぼ同じサイズで、ほぼ同じ運動性能のマークXとベース価格で約150万円も違う。その150万円分が「乗り心地」や「静粛性」や「高級感」に惜しげもなく投入されていることを考えれば納得である。
それほどに「Eセグメント」という車格のクルマは「Dセグメント」とは一線を画す。極端な話「1000万のDセグメントのハイパワーセダン」よりも「500万のクラウン」のほうが「ラグジュアリー」という観点では上なのである。


★クラウンは日本で「Eセグメント」を余すことなく味わえる貴重なクルマ



各セグメントの明確な定義はないと前述したが、Eセグメントの中でクラウンの全幅が極端に小さいのはご存じだろうか。
参考までに「メルセデスベンツ/BMW/アウディ/レクサス/トヨタ/日産/その他」それぞれの「D/E/Fセグメント セダン」における

・全長×全幅×全高、ホイールべース
・独自計算式によるボディサイズレベル

をまとめてみた


★全長×全幅×全高、ホイールべース


●メルセデスベンツ(D:Cクラス/E:Eクラス/F:Sクラス)
4690×1810×1435mm、2840mm
4930×1850×1455mm、2940mm
5120×1900×1495mm、3035mm
●BMW(D:3シリーズ/E:5シリーズ/F:7シリーズ)
4645×1800×1430mm、2810mm
4945×1870×1480mm、2975mm
5110×1900×1480mm、3070mm
●アウディ(D:A4/E:A6/F:A8)
4735×1840×1430mm、2825mm
4945×1875×1465mm、2910mm
5145×1950×1465mm、2990mm
●レクサス(D:IS/E:GS/F:LS)
4680×1810×1430mm、2800mm
4880×1840×1455mm、2850mm
5090×1875×1465mm、2970mm
●トヨタ(D:マークX/E:クラウン/F:マジェスタ)
4770×1795×1435mm、2850mm
4895×1800×1450mm、2850mm
4970×1800×1475mm、2925mm
●日産(D:スカイライン/E:フーガ/F:シーマ)
4790×1820×1450mm、2850mm
4980×1845×1500mm、2900mm
5120×1845×1510mm、3050mm
●その他(D:アテンザ/E:レジェンド/F:パナメーラ)
4865×1840×1450mm、2830mm
4995×1890×1480mm、2850mm
5049×1937×1423mm、2950mm


★独自計算式によるボディサイズレベル



次に下記の独自計算方法による「ボディサイズレベル」の一覧
●計算方法
・全幅1800mmから1950mmを約30mm区切りで「レベル5からレベル10」に区切る
・全長4650mmから5090mmを約80mm区切りで「レベル5からレベル10」に区切る
・上記の「全幅レベル」と「全長レベル」の平均を出す
・(例1)BMW 3シリーズは全幅レベル5、全長レベル5、平均レベル5。
・(例2)アウディA6は全幅レベル7.5、全長レベル9、平均レベル8.2。
まずは「メーカー順」


メルセデスベンツD:Cクラス レベル5
メルセデスベンツE:Eクラス レベル7.5
メルセデスベンツF:Sクラス レベル9.5
BMW D:3シリーズ レベル5
BMW E:5シリーズ レベル8
BMW F:7シリーズ レベル9.5
アウディD:A4 レベル6.2
アウディE:A6 レベル8.2
アウディF:A8 レベル10.5
レクサスD:IS レベル5.2
レクサスE:GS レベル7.2
レクサスF:LS レベル8.2
トヨタD:マークX レベル6.2
トヨタE:クラウン レベル6.5
トヨタF:マジェスタ レベル7
日産D:スカイライン レベル6.2
日産E:フーガ レベル7.7
日産F:シーマ レベル8.7
マツダD:アテンザ レベル7.2
ホンダE:レジェンド レベル8.5
ポルシェF:パナメーラ レベル9.7
そして「ボディサイズレベル順」


メルセデスベンツD:Cクラス レベル5
BMW D:3シリーズ レベル5
レクサスD:IS レベル5.2
アウディD:A4 レベル6.2
トヨタD:マークX レベル6.2
日産D:スカイライン レベル6.2

トヨタE:クラウン レベル6.5

トヨタF:マジェスタ レベル7
レクサスE:GS レベル7.2
マツダD:アテンザ レベル7.2
メルセデスベンツE:Eクラス レベル7.5
日産E:フーガ レベル7.7
BMW E:5シリーズ レベル8
アウディE:A6 レベル8.2
レクサスF:LS レベル8.2
ホンダE:レジェンド レベル8.5
日産F:シーマ レベル8.7
メルセデスベンツF:Sクラス レベル9.5
BMW F:7シリーズ レベル9.5
ポルシェF:パナメーラ レベル9.7
アウディF:A8 レベル10.5


★最後に


こうしてみるとクラウンがEセグメントの中でいかに小さいかがよくわかる。
BMW 3シリーズ(F30)が「パワーと乗り心地の完璧なバランス」というキャッチコピーをうたっているが、
●TVCM BMW|「ニュー BMW 3シリーズ、デビュー。」

クラウンは「ラグジュアリーとボディサイズの完璧なバランス」といえるクルマである。
最後に、今回解説した「車格」はいわばメーカーが用意してくれたサクセスストーリーのようなものだ。
世の中の会長さんクラスの方にはマジェスタなどのFセグメント、社長さんなどの経営層の方にはクラウンなどのEセグメント、そして30代以上の方にはマークXなどのDセグメントのクルマ・・というように立場に合ったクルマに乗っていただければ、「新車販売台数の低下」の一因とされている「若者のクルマ離れ」改善への糸口が見つかるのではないかと思う。
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