クルマ界のイチローはSUBARUレヴォーグ!

2017/11/23


イチローが世界一のオールラウンドプレイヤーと評することに異論を唱える人は少ない。 そのイチローばりのオールラウンド性能をもつSUBARUレヴォーグは誰もが一度は購入を検討したであろう。 レガシィB4(BL5)を長年相棒にしていた筆者もそのひとり。

今回はそんなレヴォーグの独自性とクルマ好きには気になってしょうがない「スポーツリニアトロニック(次世代CVT)」についてレビューを送る。

まずはレヴォーグにも搭載されているSUBARUが世界に誇るテクノロジーの説明から。

★アイサイトの安全性能


2016年度の予防安全性能アセスメントにて、アイサイトを搭載する新型インプレッサ68.9点、レガシィ68.0点、フォレスター69.5点、そしてレヴォーグ/WRX S4は68.5点となり、試験車種すべてで最高ランクの 「予防安全性能評価 ASV++」 を獲得。

★水平対向エンジンの低重心とオリジナリティ


今やポルシェとスバルだけが採用している水平対向エンジンはボクサーエンジンとも呼ばれ、他のエンジンはピストンが縦置なのに対し、ボクサーエンジンは横置きであるためエンジンの高さがおさえられて低重心を実現している。また左右対称に分かれたピストンが互いの振動を打ち消すため振動が少ないエンジンでもある。そんなボクサーエンジンは採用しているメーカーが少ないことや、独特の排気音を奏でることからファンが多く、MAZDAのロータリーエンジンやBMWの直6エンジンと並んでオリジナリティをもったエンジンといえる。 ちなみにボクサーエンジンだから他のエンジンよりも低重心ということではなく、同じクルマで同じ排気量のエンジンであれば「取り付け位置」や「エンジンの大きさ」などにより低重心にできるということ。同じくボクサーエンジンを積み、エンジンルームがスカスカの86/BRZをみればその低さは一目瞭然。

★スバルAWDの走行性能


まずはシンプルにスバルのAWDを説明すると

・AWDは「All Wheel Drive」の略で全でのタイヤで駆動するということ
・海外では6つや8つのタイヤで駆動するクルマが存在してるため昔から4WDではなくAWDと呼ばれている
・スバルは1972年に世界初の4輪駆動乗用車「レオーネ エステートバン 4WD」を登場させた
・それもあって他メーカーとの差別化を図るため4WDではなくAWDと呼ぶようになる
・2017現在では日本のほとんどのメーカーでも4WDではなくAWDと呼んでいる
・4WDには大きく2つ、性能が高い「フルタイム4WD」と性能が低い「スタンバイ式4WD」がある。
・フルタイム4WDは「エンジン縦置のFFメーカー」が圧倒的にシンプルに作ることができる
・「エンジン縦置のFFメーカー」はスバルとアウディだけ。スバルのAWDとアウディのクワトロが有名なのはこれが理由。
・スバルとアウディ以外のメーカーのAWDはほぼ全てが、性能が低い「スタンバイ式4WD」を採用している。
・アウディのA4以上のクワトロは「フルタイム4WD」だがA3以下やTTなどのクワトロは「スタンバイ式4WD」
・マツダの「i-ACTIV AWD」も「スタンバイ式4WD」であるが多数のセンサーによる電子制御で高い評価を得ている
・スバルのAWDグレードのクルマは全て「フルタイム4WD」
・スバルが採用している「水平対向エンジン」は「左右対称」の構造になっており左右の重量バランスに優れる
・スバルのAWDは上記のとおり「左右重量バランス」に優れることから「シンメトリカルAWD」と呼ばれる
・「フルタイム4WD」がアウディと同等だと仮定するとアウディよりも「左右重量バランス」の面でアドバンテージがある
・スバルの「フルタイム4WD」はさらに4つに大別されている
   1、安定性重視で前60:後40のトルク配分の「アクティブトルクスプリットAWD」
   2、積極的でスポーティな前45:後55のトルク配分の「VTD-AWD」
   3、電子制御を用いず前50:後50のトルク配分の「ビスカスLSD付センターデフ方式AWD」
   4、最もスポーティで前41:後59のトルク配分、そして電子制御LSDの効き具合を任意で設定することが可能な「DCCD」。
   ※「VTD-AWD」はレヴォーグ(2.0L車)/WRX S4に、「DCCD」はWRX STIに搭載されている。

・・・説明終了。要はレヴォーグのAWDは世界最高レベルのAWDの性能を持ち、その特性はやや後輪よりのトルク配分でスポーティなドライビングを楽しめる。

★スポーツリニアトロニック(次世代CVT)はCVTのネガを払拭したのか?


燃費性能やスムースな加速により日本国内では広く普及しているCVTだが、MAZDAの「SKYACTIV-DRIVE(6AT)」やHONDAのDCT、また最近ではSUZUKIにも6ATが採用されるなど、その優位性は年々下がってきている。
その1番の要因は「加速がドライバーの感覚と合わない」こと。

CVTの仕組みを極力シンプルに説明すると、CVTはギアがなく金属のベルトをエンジン側と駆動側の回転軸にひっかけて駆動させる仕組みになっている。そしてギアの役割は双方の回転軸にコマのように「傾斜」をつけて、エンジン側が小径になれば、駆動側を大径にするという具合にベルトの引っかかる位置をトルクのかかり具合で変動させている。そのためトルクのかかり具合で回転数と加速が変動してしまいドライバーの意思と連動しにくいほか、伝達できるトルクにも限界があった。また、MTモードが搭載されている車種ではCVTでもバーチャルなギアが選べたが、DCTのようなドランビングはとてもできなかった。

そんな中、CVTのパイオニアであるスバルは従来のCVTの金属ベルトから金属チェーンを採用した「リニアトロニック」を完成させる。本稿ではそのメリットをスポーツ性能に絞って解説するが、ベルト(チェーン)の滑りが抑えられ、許容できるトルクも大幅にアップ、そして何より「ダイレクト感」が改善された。また、スバルのオートマチック車の頂点に立つWRX S4とレヴォーグの2.0リッターのターボエンジンには「スポーツリニアトロニック」が搭載され、SIドライブをS#モードにすれば8段クロスレシオ変速となりDCT顔負けの変速スピードとMTライクなドライビングが楽しめる。S#モード時のシフトダウンの回転数の上がり方はスポーツカーそのもので、MTモードで2速/3速の加速時のCVTの違和感はほぼ皆無である。

次に実際に乗ってみたうえでの「スポーティ感」や「改善ポイント」をお伝えする。
  ※以下全て「2.0STI Sport EyeSight」グレード車のレビュー

★スポーティ感 


・ハンドルの手応え、クイックな反応はドイツ車と比べても遜色ないレベル。ハンドルの表面と手のひらが擦れると「スースー」と鳴るのはBMW Mスポーツ仕様のハンドルと同じ。
・足まわりはスポーティだが乗り心地は良い
・シートはサイドサポートがちょうどよくフィットする
・ブレーキコントロール性が高く、スムースに止まることができる。

★改善ポイント


・ラゲッジスペース上部とフロントの三角窓付近からチリチリ音がする
・MTモードのシフトダウン時のショックが大きいが、これは「ダイレクト感」が増したことの証でもあり、今後の改善に期待。
・ドイツ車に比べるとロードノイズがそれなりに車内に入ってくる
・バックで左ミラーの角度が下降しないのは電子装備満載の車両本体価格が400万を超えるクルマとしては非常に残念

★総評


CVTのネガを払拭したレヴォーグは、「水平対向エンジン」「シンメトリカルAWD」「アイサイト」という世界にほこるテクノロジーを搭載しつつ、ステーションワゴンの「積載能力」と全幅178cmという「扱いやすさ」、そして「スポーティ感」を兼ね備えたクルマ界のイチローといえる。若い頃にMTスポーツカーに乗っていて今は家族でアウトドアに行ったり、4人乗車でのゴルフに行ったり、室内に板積んで雪山に行く・・・そんな人は迷わず選んでいただきたい。




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